Act...14
「あ・・・・・・・・・・が・・・・・・・・・・・・ぐっ・・・・・!!」
キャンディはそのまま銃弾の格好の餌食になり、
何度も打たれ続けた。
「メイジャっ!!!伏せてっ!!!」
私は瞬時にメイジャの頭を押さえつけ、机の影に押しやった。
ひっきり無しに部屋の中に銃声がこだまする。
ペイは瞬時に体内の火力ゲージを最大まで膨張させて、
躰を転がしながら壁を伝う。
そして、外へ向かって両腕を向け、
多大なるフラッシュ現象を起こさせた。
すると、その周辺が目の眩む様な光で埋め尽くされ、
衝撃的な爆発音が響いた。
火災発生はどうやら成功したらしい。
「ペイっ!!!」
メイジャが泣きながらこっちへ近寄ってこようとする。
「まだこっちに来ては駄目!!!」
ペイが叫ぶと、メイジャはビクッと躰を収縮させ、
その場でただじっとするしか出来なかった。
また次が来るかもしれない。
生身のメイジャが動くのはあまりに危険だった。
・・・・・・・・・・・しかしどうやらひとまず静けさが戻った。
探知機が信号を発していない所から見ると、
どうやら遠のいた模様だ。
「・・・・・・・・・・・・キャン・・・・・・・ディ・・・・・・・・・・。」
おずおずと机の横から出てきたメイジャの頬は、
グショグショになっており、足がおぼつかないのか、
フラフラしながら、今にもその場に倒れてしまいそうな勢いだった。
「危ない・・・!!メイジャ。」
躓いたまま、顔をぶつけてしまう寸前の所をペイは支えた。
「ペイ・・・!!!キャンディは・・・・!!
キャンディは生きてるよね!!?まだ大丈夫だよね!!?」
メイジャは必死になって私の躰を揺さぶる。
しかし・・・・・・・その惨状を見た私には・・・・・・・・・・・・・、
ただただ首を横に振ることしか出来なかった。
「そんな・・・・・・・・・・。」
メイジャの顔に絶望の色が走る。
胸を突き刺された様な想いがした。
感情はあれだけ消去した筈なのに・・・・・・・。
「今現在、この近地区に、
意識の混入した機械を修復できる場所は・・・・・・・・ない。
それに・・・・・・・・・・・・キャンディは今数センチでも動かせば、
・・・・・・接続機能全てが破壊され、・・・・・・粉々になる。」
私は出来るだけメイジャの瞳を見ない様に、
重く・・・・・・苦しく・・・・・・・言葉を・・・・・・発した。
あまりに残酷ながら、
医師でない私にも理解できてしまう程、最悪の状態だった。
「嘘・・・・・・でしょ・・・・・・・う・・・・・・・・・・?」
メイジャの声が完全に擦り切れていく。
そして、その瞳は・・・・・・・・放心した状態で・・・・・空を彷徨っていた。
「くっ・・・・・!!」
私は壁を思い切り殴りつけた。
皮から浮き出た、細長いコードの何本かその場で切れた。
「たった・・・・・・今まで・・・・・・・!
あんなに・・・・・・・傍で笑っていたのに・・・・・・!!」
虚ろにポツポツと喋りだすメイジャ。
「ずっと・・・・・ずっと・・・・・・捜して、
・・・・・・・やっと・・・・・逢えたのに・・・・・・・・・・。」
鉄の鉛を打ち付けられた様に、
その場から逃げられないペイの・・・・・・機械の・・・・・心。
「メイジャ・・・・・・・・!!!」
ペイは・・・・・勢いよく、
メイジャをただ抱き締める事しか出来なかった。
メイジャの想いは・・・・・・・・あの頃の・・・・・、
あの頃の自分と・・・・・・・・・・同じ。
歯がゆさだけが残り・・・・・大切な者を守れなかった・・・・・・自分と!!
「ペイ・・・・・・・・・・・・ペイ・・・・・・・・・・!!!」
メイジャの腕に力が加わり、痛いくらいにペイの冷たい背を掴む。
「キャンディーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ペイの耳の聴覚センサーに異常が起こりうる程の、
・・・・・・悲痛な叫び声だった。
・・・・・・・・・・・・・・あれからどれくらいたったのだろう。
意識がまったく正常に作動しないペイ達が、
キャンディの遺体と共に座り込んで、相当時間が経過した感じだった。
しかし、現実はそう時を刻んではいなかった。
嫌悪してしまいたい程の無情なまでの喪失感。
メイジャはキャンディの機械としての遺体を、
ずっと凝視し続けている。
時折、遺体に触れようとして手を差し伸べるが、
最後には躊躇される。
その状態が何度か続いていた。
ペイは・・・・・・・・何も声をかける事が・・・・出来なかった。
無機質に静まり返った・・・・・・夜の様な崩れかかった空間。
もう・・・・・・表沙汰にならない自分とは裏腹の、
・・・・・メイジャの青白い表情。
汗。
・・・・・・そして涙。
人間として存在する事は・・・・・機械よりもずっと、
・・・・・・・・・心の芯を削り取られていく証となる。
それが自らの手で守り通さなくてはいけない、
大事な相手から得た感情なら、なおの事だ。
時代をいくら集えども、決して渦に支配されぬ時はない。
・・・・・・・・・・・しかし・・・・・・・・・・・・しかし何故・・・・・・・・・・。
『終わりを見なくてはならないのか』
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