『汝』







『求めよ』








『飽くなき己の答えを』










−私にできるすべてのこと−

Act...1









・・・ここはX00X年の地球。

既に植物と呼べる植物は消失してしまっていた。

緑豊かな光景そのものが何年前に存続していたかは、
推定でさえ定かではない。

そんな中を只、ひたすらに生き続けてきた。



周囲を見渡してみる。

機械の粗大ゴミが至る所に捨てられ放置されてある。

・・・人間の存在も珍しいこの御時世、
実は自身も機械人間(アンドロイド)である。



これが・・・この体自体こそが・・・自分の存在理由。

その理由が必要なかった昔は、
当たり前の如く生身の人間だった。

ところが某日、過去何度目かの世界大戦が勃発し、
計り知れない膨大な被害を被った。



当人物である「ペイ・マシェンダ」は、
見知らぬ誰かが手術を施してくれた事実により、
昔ほどの鮮明な定着観は感じずとも、
一度離脱した<人間期>から、
また再び別の器で<機械期>として生還した。



・・・ペイが目覚めた時は、既に周囲は壮絶たる廃墟と化しており、
荒廃した土地に只、
幾度となく風が吹き荒んでいるだけだったのだ。

その間、自分の確たる意識も何処かに置き忘れてしまった様で、
瞬間的な記憶の断片も一部分欠けていた。



現在、機械型復元体を入手するのは、
莫大な費用コストを必要とする。

当時であれば、想像を絶する額であっただろう。



ペイは、何故ここで生還しているのか、
しばし疑問の念を抱いていた為、
最初はこの真実を受け入れる事に、
抵抗を感じずにいられなかった。



しかし、一体誰が、
何の為に自分自身に手を加えてくれたのだろうか・・。

当然の事ながら、
感謝の思いを告げるべきであり、実行したい。



そして何よりも気になるのは・・・、
その架空の人物が、
自らに生存の理由を付けたのか、否か・・という点だ。


今回の戦争の下中、価値ある人種が何千、
何万と葬られていったにも関わらず、
どうして自分を選出したのか。



身近に存在したから・・・?

或いは施しをした人種がかなりの善良者であったから・・・?



不可解に気になる点ではあるものの、
家族をも失った際故郷から離れ、
ペイはその行方をこうして追跡している。


過去の環境が崩れ始めた今、
「復興」という名の形も箇所箇所だけにしか兆しがみられない。


それと同時に多くの場所で治安が崩れ始めてきている。


決して生活出来ないわけではないが、
身置きを定着させるには、
まだ不安要素が多々ありすぎるのだ。



(・・・生存したからこそ今を歩いて行くには理由がいる)

ふと宛もなく、そんな事を思案していた時だった。



「・・・・あのっ!!」

どこからか幼い声がペイの耳に届いた。

「・・・ん?」

「あ・・・あのっ!キャンディ・・・!僕の妹・・・見ませんでした?
・・・黒髪で・・大きな瞳で・・・」

息を切らせながら小さい歩幅で走ってきたのは、一人の少年だった。

何やら懸命にペイに言葉を投げかけている。

・・・そして汗を掻いている。

どうやら、生身の人間の様だとペイは悟った。



「・・・さあ・・・・見てないわ。」

「そう・・・ですか・・・・・。一体何処に行っちゃったんだろう・・・。」

その少年は、ふっと瞳を伏せ目がちにすると、

再び妹らしき少女の名を呼びつつ周囲を散策し始めた。



「キャンディーーーーー!!キャンディーーーーーーー!!」

まるで、周囲の機械産業廃棄物とぶつかり合い、
高質な声が反響している様だった。



・・・・あの様な人間そのものの人種を一瞥すると、
ペイは不意に、
自意識で理解してるかさえも確かではない、
「過去」を振り返りたくなる。

今となっては全て「無意味」に近い上、
必要ではない思いではあるが。


・・・・その時。




退